Doctors Voice vol.3
放射線治療医が免疫療法との併用を実践
放射線治療と免疫療法の併用で
がん治療に大きな成果あり。
自分の専門分野に閉じ込もらず、
越境で新たな医療の地平を開け。
国立病院機構災害医療センター
放射線治療科医長
きしクリニック 院長
岸 和史 先生
― アイアールエックス・メディシンのサービスを利用して、
未承認治療薬/海外医薬品を使用し治療することに至った背景を教えてください。
私は分子医学と放射線治療学が専門で、現職の国立病院機構災害医療センターへの着任前は、札幌で新しい考え方による高機能放射線治療センターを立ち上げ、あらゆる種類のがん患者さんの治療に昼夜当たっていました。外科手術、薬物療法、放射線は3大がん治療法でしたが、最も安全で有効な組み合わせが常に求められ、留学時代、私は米国で放射線は免疫(学)だと言う教授の元にいました。
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶 佑(ほんじょ たすく)先生の研究を糸口に、がん免疫療法が「第4の治療法」となり、いま、その第4が全てを繋ぎ始めました。私は帰国後に新しいセンターで、放射線治療と免疫療法の役割に基づいた臨床治療を展開し、近年の日本がん免疫学会や、日本放射線腫瘍学会などで、放射線治療直後免疫療法(ⅡART)の成果も数多く発表させていただきました。
留学時代の人脈もありましたが、老けないIT/AIが多量の(海外)情報を与えてくれます。札幌の病院の時にも海外や遠くの"内地”からの方が”最先端”を求めていらっしゃいました。必要な医薬品は、多くが国内で適応外であったり未承認であったりしました。お薬の輸入システム、患者さんと治療を支えるチームを作り、何よりも患者様の安全を優先して治療全体にかかわりました。はじめのころお薬の入手に苦労しました。手続きがスムースで信頼できるアイアールエックス・メディシンの存在は、いまの私にとって有難く安心できるものになりました。
― 治療中に直面した課題や困難はございますか。
またその克服内容についてお聞かせください。
一般的な保険診療を超えた患者さん本位の治療を実践するためには、何ごとも自分一人の力では実現できないということです。治療に使う医薬品を海外から調達するだけでも、そもそも時差があり、リアルタイムに連絡を取り合うために、睡眠やプライベートの時間を犠牲にすることになります。温度管理が必要な医薬品であればなおさらです。外国も大丈夫と私が自力で輸入していた頃、届かないトラブルと損失がありました。また医薬品の輸入や治験における法律や規制の問題や、輸入元の国との制度の違いがあり、全て私一人で対応するのは不可能です。この点で、アイアールエックス・メディシンのサービスは安心できて、ロスがなく、チームにとって非常に役立ちました。
また、その他の問題を克服するために私は信頼できるメンバーでチームを作っていました。既に医療現場では多職種連携のためにチーム作りの重要性は語られていますが、より高度な医薬品調達やそれを用いた治療を間違いなく実施していくため、時間をかけてメンバーを集めました。各人のリソースはFTE(full-time equivalent、フルタイム当量)に倣い、時折Copilotなどの生成AIも利用し、リモート・クラウドベースで相互連絡・管理し、時に集います。夢を持っているからできる事と思います。
― この治療を行って成功したこと、ポジティブな結果はございますか。
やはり放射線治療と免疫療法の併用によって、がん患者さんの治療に大きな成果があったことです。
進行膵癌の治療における放射線療法直後の併用免疫療法の論文が、23年11月の札幌医師会雑誌に掲載されました。この非介入観察型の臨床試験は私がセンターにいた頃まで続けられました。結果は、生存率が単なる放射線治療群より免疫併用群で二倍の開きがありました。
― 弊社サービスをご利用いただいたご感想をお聞かせください
アイアールエックス・メディシンのサービスに感謝しています。時間を問わずインターネットを通じて手続きを進められ、配送中の温度管理等も任せられるため、海外とのコンタクトの手間がなく、医薬品を入手するまでの時間を短縮できました。サービス価格も市場で最も手ごろだと思います。また最新の医薬品の情報もキャッチアップが早く、海外での承認後速やかに入手できるようになっていると思います。未来につながる業務内容だと思っています。
― 未承認治療薬/海外医薬品による治療を検討している患者や医師へのアドバイスをお願いします。
自分が医師として専門分野の治療を学び、医療現場で実践しているのが、日本の医師の基本的なあり方です。一方でアメリカや中国、それ以外の国でも、多くの医師が専門分野を超えた診療技術の習得や、私が行っているような自分の専門分野と他の分野を組み合わせた治療の実践を行っています。 これからの日本の医師にも、積極的に専門分野の異なる領域を学び、医師や他の専門家との交流を増やして、新しい治療法の研究や実践を、そこにいる患者さんのために、行ってほしいと考えています。それは医薬品の使用だけではなく、医療機器でも同様です。一人で不安な場合には、「なんでも来い」の私に相談してください。力になれると思います。
お話のまとめ
■お話を伺った方
国立病院機構災害医療センター
放射線治療科医長
きしクリニック 院長
岸 和史 先生
■施設情報
独立行政法人 国立病院機構災害医療センター
https://saigai.hosp.go.jp/
東京都立川市緑町3256番地
JR立川駅または多摩都市モノレール立川北口駅下車
■主な資格、所属学会
医学博士
放射線治療専門医 IVR認定医
日本放射線腫瘍学会 評議員 (~2015)
日本血管造影インターベンショナルラジオロジー学会 評議員(~2015)
日本医学放射線学会 代議員(~2015)
日本医学放射線学会生物部会 幹事
和歌山悪性腫瘍研究会 幹事
American Society of Therapeutic Radiation Oncology
International Society for the Study of Vascular Anomalies
American Brachytherapy Society